「またおもちゃの取り合いが始まった……」
「貸してって言えばいいのに、どうして取っちゃうの?」
「友達のおもちゃを取ったとき、どう声をかければいい?」
2歳児クラスでは、おもちゃの取り合いが
日常的に、いや、数秒ごとに起こると言っても過言では無いくらい
日常的に起こります!!
さっきまで仲良く遊んでいたと思ったら、
突然「いや!」と泣いたり、おもちゃを引っ張り合ったり。

でも、2歳児のおもちゃの取り合いは、
単なる「わがまま」や「意地悪」から起こっているわけではありません。
「友達が使っているものが気になる」
「自分も使いたい」
という気持ちが育ってきた一方で、自分の気持ちを調整したり、言葉で伝えたりする力はまだ発達の途中だからこそ起こります。
この記事では、現役保育士として2歳児と関わってきた経験から、
2歳児がおもちゃを取り合う理由と、保育士がどのように仲立ちしているのかを紹介します。
2歳児がおもちゃを取り合うのはなぜ?
まず知っておきたいのは、2歳児のおもちゃの取り合いには、発達上の理由があるということです。
「友達が持っているもの」が気になるようになる
2歳頃になると、少しずつ友達の存在を意識するようになります。
友達が遊んでいるものを見て、
「楽しそうだなぁ」
「自分もやってみたい!!」
「同じものが欲しいっ!」
と思うことが増えてきます。
つまり、おもちゃを取り合うということは、
友達への関心が育ってきたからこそ起こる姿でもあるのです。

もちろん、まだ「一緒に遊ぼう」というところまではいかないこともあります。
友達の隣でそれぞれ遊んだり、友達の遊びを真似したり、同じおもちゃを使いたがったり。
こうした姿も、2歳児にとっては大切な友達との関わりです。
「貸して」「どうぞ」「順番」がまだ難しい
大人からすると、
「貸してって言えばいいよ」
「順番を待とうね」
と思いますよね?!?!?
でも、2歳児にとっては簡単なことではありません。
「使いたい」という気持ちは強くても、
「今は友達が使っている」
↓
「じゃあ終わるまで待とう」
↓
「終わったら貸してもらおう」
と、自分の気持ちを抑えながら先のことを考えるのは、まだ難しい時期です。
さらに、言葉で「貸して」と伝えられる子でも、
気持ちが高ぶった瞬間には言葉が出てこないことがあります。
その結果、
「欲しい」→手が伸びる→取ってしまう
という行動になることがあります。

だからこそ、2歳児の「取る」という行動だけを見て、
「悪い子」
「意地悪」
と決めつける必要はありません。
その行動の奥にある、
「使いたかった」
という気持ちにも目を向けてあげたいところです。
2歳児のおもちゃの取り合い|保育士はどう仲立ちする?
では、実際におもちゃの取り合いが起こったとき、保育士はどのように関わればよいのでしょうか。
ポイントは、
「どちらが悪いかを決める」のではなく、「それぞれの気持ちを整理する」こと。
です。
① まずは安全を確保する
引っ張り合いになったり、押したり叩いたりしそうなときは、まず安全を確保します。
「危ないから、先生が持つね」
「手を止めようね」
と、落ち着いて間に入ります。

このとき、感情的に、
「取っちゃダメ!」
「ケンカしない!」
と大きな声で叱るよりも、まず子どもたちを落ち着けることを優先します。
安全が確保できたら、そこからそれぞれの気持ちを見ていきます。
② 「使いたかったんだね」と気持ちを代弁する
おもちゃを取った子には、
「これ、使いたかったんだね!」
「○○ちゃんが持っているのを見て、欲しくなったんだよね?」
と気持ちを言葉にしてあげます。
取られた子には、
「まだ遊んでいたかったね・・」
「取られて嫌だったね!!」
と伝えます。
繰り返しになりますが、どちらか一方だけの気持ちを受け止めないこと。
「取った子が悪い」
「取られた子がかわいそう」
と単純に分けるのではなく、
どちらにも「そうしたかった理由」がある
と考えて関わります。
③ 「貸して」「あとでね」を大人が仲介する
2歳児同士では、
「貸して」
「あとでね」
「終わったら貸すね」
というやり取りを、
自分たちだけで成立させるのはまだまだ難しいことがあります。
そんなときは、保育士が間に入ります。
例えば、
「○○ちゃんが使ってるね」
「△△ちゃんも使いたいんだって」
「終わったら貸してもらおうか!」
と、子ども同士の気持ちをつなぎます。

「貸して」と言える子には、
「貸してって言ってみようか」
と促すこともできます。
ただし、必ず言わせる必要はありません。
まだ言葉にすることが難しい子には、
「先生と一緒に言ってみようか」
と、大人が支えてあげれば十分です。
④ 「順番」を具体的に伝える
「順番ね!!」
だけでは、2歳児には分かりにくいことがあります。

そこで、
「○○ちゃんが遊んだら、次は△△ちゃんね」
「先生と一緒に待っていようか」
など、できるだけ具体的に伝えます。
場合によっては、
「砂時計が落ちたら交代しよう」
「この遊びが終わったら貸してもらおう」
など、目で見て分かる方法を取り入れるのも効果的です。
ただし、2歳児の場合は「順番を待つこと」そのものがまだ難しい子もいます。
長時間待たせるより、
待っている間に別の遊びを用意する
など、無理なく経験できるようにすることも大切です。
2歳児のおもちゃの取り合いでやりがちなNG対応
子ども同士のトラブルが続くと、大人もつい、
「もういい加減にして!」
と言いたくなることがありますよね。
ここでは、できれば避けたい声かけを紹介します。
「貸してあげなさい」
取られた子に、
「もう遊んだし貸してあげなさい!」
と言ってしまうことがあります。

でも、その子はまだ遊びたかったのかもしれません。
「貸してあげること」がいつでも正解ではありません。
「まだ使っていたいんだね」
と、その子の気持ちも大切にしたうえで、
「終わったら貸してね」
とつなげるほうが、子どもの気持ちに寄り添いやすくなります。
「順番でしょ!」
大人には当たり前の「順番」も、2歳児にはまだ練習中です。
「順番でしょ!」と強く言うだけでは、
「待たなきゃいけない」
ことは伝わっても、
「どうやって待てばいいのか」
までは分からないことがあります。
だから、
「今は○○ちゃんの番だね。終わったら△△ちゃんの番だよ」
と具体的に伝えてあげます。
「ごめんねって言いなさい」
トラブルが起きると、すぐに「ごめんね」を求めたくなることもあります。
もちろん、謝る経験は大切です。
でも、子どもがまだ気持ちを整理できていない状態で、
「ほら、ごめんねは?」
と繰り返すだけでは、
「謝れば終わりなんだ」と学習してしまうこともあります。
まずは、
「使いたかったんだね」
「欲しかったんだね!」
と気持ちを受け止めます。
そのうえで、
「次はどうしようか?」
「貸してって言ってみようか?」
と、次の行動を一緒に考えていきます。

「取った子」だけを叱らなくていい
おもちゃの取り合いが起こったとき、
「取った子=悪い」
となりやすいですが、2歳児の場合は少し違います。
例えば、
友達が使っている
↓
それを見て「楽しそう」と思う
↓
自分も使いたくなる
↓
「貸して」と言う前に取ってしまう
ということがあります。
これは、「人のものを取ることは悪い」
というルールを教えていく必要はありますが、同時に、
「使いたい」という気持ちそのものは否定しなくていい
ということでもあります。
「使いたかったんだね。でも今は○○ちゃんが使っているよ」
「終わったら貸してもらおうね」
と、気持ちは受け止める。でも行動には適切な方法を伝える。
この両方を大切にします。
おもちゃの取り合いを減らすためにできること
2歳児のトラブルは、子どもへの声かけだけで減らすものではありません。
保育環境を見直すことも大切です。
同じおもちゃを複数用意する
人気のおもちゃが一つしかなければ、当然取り合いが起こりやすくなります。
同じものを複数用意できる場合は、
「同じものを使いたい」
というトラブルを減らせます。

もちろん、すべてのおもちゃを人数分用意する必要はありません。
「特に取り合いになりやすいものは何か?」
を考えて環境を整えます。
子どもの人数に対しておもちゃの量を見直す
おもちゃが少なすぎると、取り合いが増えることがあります。
一方で、おもちゃが多すぎると遊びが散漫になってしまうこともあります。
2歳児がじっくり遊べるように、
「今の子どもたちにとって必要な量はどれくらい?」
と考えながら環境を調整します。
子どもの動きをよく見る
トラブルが起きてから対応するだけでなく、
「この2人、同じおもちゃを欲しがりそうだな」
「○○ちゃんが今、△△ちゃんのおもちゃをじっと見ているな」
と、少し先の動きを予測することも保育士の大切な役割です。
早めに、
「これ使いたいの?」
「こっちにもあるよ」
と声をかけることで、大きなトラブルになる前に気持ちを切り替えられることもあります。
家庭で兄弟や友達との取り合いが起きたら?
保育園だけではなく、家庭でも兄弟同士のおもちゃの取り合いはあります。
そんなときも、すぐに、
「お姉ちゃんなんだから貸してあげて」
「妹に貸してあげなさい」
と、どちらかに我慢させる必要はありません。
まずは、
「二人とも使いたかったんだね」
と気持ちを受け止めます。
そして、
「今はお姉ちゃんが使っているから、終わったら貸してもらおう」
「こっちのおもちゃで遊ぶ?」
など、具体的な方法を提案します。
兄弟だからといって、いつでも仲良く譲り合えるわけではありません。
むしろ、安心できる相手だからこそ、思い切り自分の気持ちを出せることもあります。
「またケンカしてる……」
と疲れてしまう日もあると思います。
正直私もものすごく疲れます!!!笑
優しく仲裁出来ずに、流してしまう日や怒ってしまう日も
もちろんあります!!!
毎日完璧に仲裁しようとしなくても大丈夫。
安全だけは確保して、必要なところだけ大人が手を貸す。
それくらいでも十分です。
まとめ|2歳児のおもちゃの取り合いは「友達と関わる練習」
2歳児のおもちゃの取り合いは、毎日のように起こることがあります。
でも、
「わがままだから」
「友達と仲良くできないから」
と考える必要はありません。
友達が使っているものが気になる。
自分も使ってみたい。
一緒に遊びたい。
でも、「貸して」「待って」「あとでね」と気持ちを調整することはまだ難しい。
そんな発達の途中だからこそ、取り合いが起こります。
保育士が大切にしたいのは、
「どっちが悪い?」ではなく、「それぞれ何をしたかったの?」と見ること。
そして、
「使いたかったね」
「嫌だったね」
と気持ちを受け止めながら、
「貸してって言ってみようか」
「終わったら交代しようね」
と、少しずつ友達との関わり方を伝えていくことです。
2歳児のおもちゃの取り合いは、困った行動に見えることもあります。
でもその一つひとつが、
友達と関わる方法を学んでいる途中の大切な経験
でもあります。
「また取り合いしてる……」と大人が疲れてしまう日もありますが、
子どもたちはその中で少しずつ、人と関わる力を育てています。
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